電気屋さん、時々、散髪屋さん
ドアを開けると、マンションの一室が大きなひとつの空間になっていました。
フルスケルトンと呼ばれる、必要な柱や壁以外の全てを取り払った状態。
ここからいよいよフルリノベーションが始まります。


本日は墨出しの日。
工事に取り掛かる前に床に墨で線を引き、間取り図のように区画整理していきます。
床に引かれる線を目で追っていると、床につくくらい長く垂れ下がった配線に気づきました。
部屋のあちこちのコンセントや機器と繋がっていた配線が、今はざっくりひとまとめにされています。
まるで東京の地下鉄のような複雑さです。


そんな配線をじっと見て、時々短く切って束ねていく電気屋さん。
何故切って良いものとダメなものが分かるのか、まさかこの路線図のような配線を見極めている…!?
不思議に思っていると、電気屋さんが配線を指差して教えてくれました。
「一個一個に行き先書いてるねん」
よく見てみると、てっきり品番か何かだと思っていた文字は「クロゼットコンセント」と書かれていました。


「散髪してるようなもんやね」
と言って、配線を切っていく電気屋さん。
ぶつかったり引っ掛けたりすると危ないので、工事の邪魔にならないよう短く切ってまとめておいて、必要になればまた新しい配線を繋ぐそうです。

伸びた髪を短く切って、また伸ばしたくなったらエクステをするようなイメージでしょうか。
どういう作業をしているのか分からなかったのに、一瞬で想像しやすくなりました。
スムーズに工事を進めるための大切な作業だと知ると共に、現場の様子、職人さんのお仕事を伝える身として、こんな表現ができるようになりたいと思った瞬間でした。